【野球選手要注意!!】投球障害の中でも最も多い障害(インピンジメント症候群)

肩関節障害の代表的な疾患として“インピンジメント症候群”というものがあります。

あまり聞き覚えのある名前ではないかと思いますが、原因不明の肩の痛みに悩まされている方の中にもこの疾患の方が多くいらっしゃいます。

今回はこの「インピンジメント症候群」についてご紹介したいと思います!


インピンジメント症候群とは

インピンジメントとは“衝突”という意味を持っており、インピンジメント症候群は肩関節が“衝突”をおこし、痛みを発生させています。

インピンジメント症候群は痛みを抑えるだけでは改善しないことが多く、肩甲胸郭関節・体幹・股関節の機能障害を見つけアプローチしていかないと改善しないケースが多くみられます。

骨模型 肩関節 (3)

インピンジメントの症状は

肩を上げていくとき、ある角度で痛みや引っかかりを感じ、それ以上に上がらなくなる症状の総称です。

悪化するとこわばりや筋力低下なども伴い、夜間に痛むこともあります。

肩を上げるとき、あるいは上げた位置から下ろしてくるとき、60-120°の間で特に強い痛みを感じることがあります。

骨の形の個人差として肩がもともと下方に出ている場合や加齢変化として肩に骨の棘ができた場合のほか、投球動作など腕をよく使うスポーツ選手(特に野球やバレーボールなど)にも発症します。

投球指導 (1)

なぜインピンジメントを起こすのか?

少し専門的な話になりますが…少しでも知ってもらいたいのでご説明をいたします!!

上腕を外転する課程で、上腕骨と肩の間に腱板の一部や肩峰下滑液包などが挟み込まれ、繰り返して刺激が加わると滑液包に浮腫や出血が起こります。安静にするとこの変化は正常に戻り症状は軽くなりますが、動作を繰り返すことによって症状が再燃し慢性化します。

進行すれば、腱板の部分断裂となったり、肩峰下に骨の棘ができたりして痛みがなかなかとれなくなることもあります。

メカニズム

肩

インピンジメント

インピンジメントには、肩峰と棘上筋間で肩峰下包が挟まれるエクスターナルインピンジメントと、棘上筋の関節包面が後上方関節唇と衝突するインターナルインピンジメントの2種類の症状があります。

両方とも肩甲上腕リズム(肩甲骨と上腕骨の動き)の異常が原因となっているケースが多いです

特にインターナルインピンジメントはSLAP(関節唇損傷)という症状になることもあるので特に注意が必要です。

肩甲上腕リズムの異常は、外転と水平伸展の2つの動きをチェックします。

チェックするポイントは、外転時に肩甲骨の上方回旋と後傾が起きているか?(肩甲骨の挙上が早く起きすぎていないか?)

と、水平伸展時に肩甲骨の内転と下制が起きているか?(肩甲平面と上腕骨長軸がずれていないか?)です。

外転時の肩甲上腕リズムの異常はエクスターナルインピンジメントを引き起こし、水平伸展時の肩甲上腕リズムの異常はインターナルインピンジメントを引き起こします。

肩甲上腕リズム

インピンジメントにならない為に!!トレーニング&治療法!

インピンジメントにならない為にはインナーマッスルを鍛えることが大切です。

インナーマッスルは肩の関節のぶれを起こさないようにする筋肉です(肩の安定性を保つ)。

ボールを投げすぎると腱板は疲労して肩をささえる力が弱くなり、肩がぶれてインピンジを起こしやすくなります。

(特にピッチャーやキャッチャーはボールを投げる機会が多いので、腱板が弱ってインピンジメント症候群になりやすい傾向にあります。)

実際、野球をしている子の肩の診察をすると、腱板、特に棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)の筋力が弱っている選手をよく見かけます。

では、インピンジメント症候群にならないためには、弱っている腱板を鍛えるインナーマッスルトレーニングだけを行えばよいのでしょうか?

実はそんなに単純なものではありません。腱板の筋肉は肩甲骨から出てくる筋肉です。

例えれば、土台である肩甲骨が不安定だとうまく腱板を鍛えることはできません。

ぐらぐらした土台(肩甲骨)の上で腕立て伏せ(腱板訓練)をしているようなものです。

ですから、腱板を鍛えるには、まず肩甲骨周囲の筋肉トレーニングをして、肩甲骨がしっかりするようになったら腱板の訓練をすることが大切なのです。

棘上筋トレーニング

インナーマッスル・肩甲骨の安定性だけを良くしても十分とはまだ言えません!!

もっと上を目指すなら肩のコンディショニングだけではなく、股関節や背部の柔軟性の向上をして頂くとよりコンディションよくプレーして頂けます。

今回は少し難しい説明が多かったと思いますが、皆さんに少しでも知って頂きたく投稿しました。

これからの野球少年・高校球児このような症状にならないように!!

なってしまったらすぐに治療が出来るように!!

早期発見・早期治療が一番の近道なので、気になる症状をお持ちの方は是非当院までお越し下さい。

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監修 柔道整復師・鍼灸師・あんまマッサージ指圧師 原田彰

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